投資信託の説明書を見ると「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という表記が見られます。今回はその意味をご説明しようと思います。
為替ヘッジとは
為替ヘッジとは将来の為替相場の変動によるリスクを回避することで、主として外貨の先物取引やオプション取引を利用して行います。
通常の日本企業の商取引では円高による外貨の目減りを避けるために行われることが多く、先方から入金されるタイミングに合わせて先物で外貨を売っておく処理を行います。そうすることで入金までの円高リスクを避け、現時点で得られる金額を円ベースで確定できるメリットがあります。当然その場合は円安による差益を得るチャンスを逃すことになりますし、また為替ヘッジするためのコスト(2国間の短期金利差+売買コストなど)も必要になります。しかしながら長期的・安定的な事業の運営を考えると、偶発的な為替相場の上下に振り回されるリスクは極力避けたいところです。
投信における為替ヘッジも同じ仕組みで、細かい方法はファンドにより異なりますが、一般的には、外貨建て資産へ投資すると同時に、一定の為替レートで先物を売っておくというう処理を行っています。
ヘッジあり・ヘッジなしどちらを選ぶべきか
これは個人の投資判断ですのでどちらが良いとは言えません。これから急激な円高になると確信している方はヘッジありを選ぶべきでしょうし、円安傾向がこのまま継続すると考える人はヘッジなしとするべきでしょう。
円高になるか円安になるかは誰にもわかりません。それがわかれば投信などとまだるっこしいことはせずにFXでハイレバ運用すればあっという間に儲かるわけですから。
私はすべての投信を「為替ヘッジなし」で運用しています。これは円安傾向が続くと確信しているわけではなく、ヘッジにかかるコストがもったいないからです。
為替ヘッジのコストは主として2国間の短期金利差+売買コストです。2国間の短期金利差、特にドルの金利を考えると、このところ継続的に短期金利が上がってきていて、年に3%程度の金利負担が必要となります。アメリカの短期金利はTB(財務省短期証券)の動向に左右されることが多く、トランプ政権の減税政策によりこれからさらに大量に発行されそうですので要注意です。(債権が売られる、つまり金利は上昇傾向になるということ)
このヘッジコストは投信が原資産が値上がりしようと値下がりしようとかかるのものですからもったいないです。上がっていればまだ負担しても良いですが、そのままあるいは下がっているのに、加えて為替ヘッジのコストを負担するのはいかにもきついです。円高が進むと確信しているならともかく、どちらになるかわからないのなら、このコストは負担すべきではないと考えます。
投資はくれぐれも自己責任で
ここで何度も書いていますが将来のことはわかりませんので、投資はくれぐれも自己責任でお願いします。私も自己責任で「為替ヘッジなし」投信を購入していますので、このブログを通じて運用状況を適宜ご報告していきます。