不動産

都内に戸建てを買うときに留意すべき事項

3年ほど前に都内に一戸建てを買いましたが、そこに至るまでに様々な物件を見てきました。

その中で、家や土地を見るのが楽しくなり、それが高じて「宅建」資格まで取得してしまいました。

そういう家探しをしてきた経験から、特に都内の「戸建て」を買う場合に留意すべき点についてまとめてみました。

全ての条件がかなうわけではないので取捨が必要

都内に一戸建てを買う場合は、やはり価格がかなり高いですから、そこがネックになって希望する条件を全て満たすことができません。

そして不動産の価格というものは良くできていて、付いている価格には「それなりの理由」があります。

それでも地方都市など、不動産全体の価格が安ければ、全てを飲み込んだうえで、「何となく気に入った」で物件を選ぶことができるでしょう。

しかし都内では、そういう訳にはいきません。価格が付けられた「それなりの理由」を理解したうえで、それが自分のライフスタイルに必要か不必要かを見極めて物件の選択をする必要があります。

不動産の価格は基本的には需要と供給で決まりますから、希望する条件に合致する人が多い物件ほど価格は高くなり、少ない物件ほど安くなります。

もし多くの人が希望する条件が、自分には必要がない条件だとしたら、それを外すことで、「安い」物件を購入しても問題ないということになります。

反対に自分に必要がない条件にもかかわらず、そういう人気のある物件を買ってしまったとしたら、それはあまり合理的な買い物とは言えないでしょう。

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価格が付けられる主な条件

それでは人が希望する条件を見て行きましょう。

それが自分のライフスタイルに絶対に必要というならば、高いお金を払っても買うべきでしょうし、そうでないならそれを外すことで合理的な買い物ができるでしょう。

最寄り駅はブランドにこだわると割高

これは価格を決めるうえで一番大きなポイントです。

世田谷区ですと、自由が丘とか成城学園のような「オシャレ」な街は人気が高くなり、その分は価格に反映されています。

そういう「オシャレな街に住む」ということが、自分のライフスタイルに絶対必要な条件でなければ、これを避ける方が良いでしょう。

また「急行が停まる」というのは、通勤・通学にとても大きく影響しますから、これも人気の理由になります。

自由が丘とか成城学園などのエリアならば、急行が停まらない近くの駅でも、通勤や通学に致命的に時間がかかるということはないでしょうから、あまりこだわるべきではないと思います。

駅からの距離はとても重要

駅からの距離は実はなかり重要で、駅から歩いて15分以上かかるところですと、何せ毎日のことなのでかなりの肉体的・心理的な負担になります。

雨の日も雪の日もあるでしょうし、子供の通学も歩く距離が長いと途中の事故などが心配になります。

安くなるのだからその分タクシーを使えばよいと考えるかもしれませんが、都合よくタクシーがつかまるかわかりませんし、駅からの帰りはともかく行きはあまり期待できそうにありません。

従って、通勤・通学に電車を使っている人は、この条件はかなり重要度を高くすべきだと私は思います。

反対に、生活に電車を使わない方は、この条件を外すことによって、かなり価格の抑えた物件が視野に入ってくると思います。

なお距離は同じでも、途中に坂ないか、歩道付きかどうかなど、歩くためのストレスが大きく違うということもあり得ます。

そのあたりは実際に現地を見てみないとわかりませんし、値付けにあまり反映していないことも考えられますので、良い物件はプラス要素、悪い物件はマイナス要素と考えると良いでしょう。

床面積はどのくらい必要か

建物の大きさ(床面積)として人数×8坪が標準と言われています。3人家族なら24坪(79.2㎡)、4人家族なら32坪(105.6㎡)となります。

それ以下ですと「狭い」ですし、それ以上ですと「余裕がある」と感じる水準です。

確かに家は広ければ広いほど快適ではありますが、都内の物件は高いですから、必要面積以上は求めないで、他の要件にお金をかけることが必要でしょう。

庭付き戸建てはこだわらない方が良い

土地については「建蔽率」と「容積率」があり、閑静な住宅地ではそれぞれ50%、100%、マンションが建つような中間的エリアでは60%、150%、駅の近くの商業地近くでは60%、200%ということが多いです。

閑静な住宅地は広々とした庭があるところが多いですが、建物の割に土地が広く必要となりますので、必要な床面積を確保するために土地代が多くかかってしまうことになります。

またそのようなエリアは「住環境を守るため」に商業施設の建築が制限されていて、「近くにコンビニすらない」という状況が考えられます。

都内に家を買うと決めた以上、庭付き戸建てにこだわるのはあまり得策ではなく、中間的エリアまたは駅近くの商業地近くで、土地面積は狭くとも3階建てにして床面積を確保する方が合理的な選択だと思います。

得てして、そういうところの方が駅に近かったり、商業施設があったりして便利なことが多いですので、生活の質は高まると思います。

日当たり・前面道路

日当たりは、当然南向きが一番です。部屋の明るさや温かさが全然違います。

ただしここは皆が良く見るポイントですので、価格には当然織り込まれていると考えて良いと思います。

問題は次の「前面道路」です。

ここも「日当たり」とセットで考えられますが(南側に広い道路があれば日当たりがより良くなる)、車の出入りにも非常に重要です。

前の道が狭いと車庫入れが難しくなりますし、広くても交通量が多いとストレスになります。

また前の道は良くても、主要道路までの至る道にすれ違うのに往生するような狭い道などがあると大変です。

車を使う人ならば、これからずっと続くことですので、できれなそのようなストレスのない物件を選んだ方が無難でしょう。

このあたりの事情も、あまり価格には織り込まれていませんので、しっかり現地で確認する必要があるでしょう。

その他

最後に、その他に考えるべき要件をいくつか挙げておきます。

・小学校が近いか

小学校が近いと、子供の通学を考えて、それだけを理由に買いたい人がいます。自ずと値段は上がりますが、反対に「売りやすい」とも言えます。

小さいお子さんがいらっしゃるならば、ご自身の購入条件にも入れるべき事項です。

・ハザードマップ上どうなっているか

近くの河川が氾濫した場合にどの程度浸水するかなどの予測が掲載されています。自治体のホームページなどに出ています。

都内で極端に値段が安い物件の中には、そういう「災害時に危険」な場所の可能性もありますから、よく調べた方が良いと思います。

・43条但し書き通路ではないか

建築基準法の「建築基準法上の道路に接していなくても、基準に適合し安全が確保できれば建築できる」というものですが、再建築に際し建築審査会の許可が必要となります。

あなたの不動産に接する43条但し書き通路とはどのような道か

これにはいろいろ種類はありますが、都内で多いのは「本来は水路であったがその上を蓋をしたことにより道路のように見える」ところでしょう。

こういうところも近隣に比べて安い場合が多いですが、水路があるということは水が流れてくるということですので、ハザードマップと併せて確認しておいた方が良いでしょう。

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譲れる条件は何かを考えておく

ここまでいろいろと挙げてきましたが、都内は住宅価格が非常に高いので、なかなか自分の条件に見合う物件を見つけるのは難しいでしょう。

不動産屋さんに行くと「希望の条件は」と良く聞かれると思いますが、反対に「譲れる条件」を予め考えておくと良いと思います。

「駅近でなくても良い」「車はないので前面道路は狭くても良い」「所有権にこだわらないので借地権物件でも良い」など、譲れる条件が多ければ多いほど合理的に物件を探すことができると思います。